中高生のとき、
あこがれの同級生がいました。
女子校なので、女子が女子にあこがれるということが、
普通にありました。
「里枝(りえ)」ちゃんというその人は、
かわいくて明るくて、みんなの人気者でした。
一方の私は、人が苦手、休み時間が苦手、会話が苦手、
つくり笑いしかできない、内向きな女子でした。
本を読むのがすきで、
ひたすら図書室にかよっていた、
ちょっとネクラな、マジメ女子。
思春期の女子は残酷です。
里枝ちゃんは「かわいいほうのりえちゃん」と
呼ばれていました。
私は、苗字で呼ばれていました。
りえちゃんはギター部、
私は器楽部。
高2になってクラブの中心学年になったとき、
りえちゃんは指揮者になっていました。
一方の私は、指揮者に立候補したものの落選し、
バイオリン担当の華やかな女子が、
指揮者になっていました。
生まれもった華やかさ、
美しさ、女らしさ
私にはないもの。
私は女性としての自分を、
ひたすら否定しつづけました。